一般社団法人 大分学研究会

大分の魅力を多面的に明らかにして県内各地の観光・地域振興に資することを目的にしています

TEL.097-538-9731
FAX.097-538-9724

〒870-0021 大分県大分市府内町3-8-11

第21回おおいた魅力体験ツアーが開催されました

第21回おおいた魅力体験ツアーが開催されました

 

2016年最初の「おおいた魅力体験ツアー」を2月28日の日曜日に開催されました。

今回は『竹田のキリシタン遺跡を訪ねて』というテーマのもと、竹田市南蛮文化振興室長の後藤氏を講師に、竹田市のキリシタン関連遺跡を巡り、最後には佐伯市宇目にあります「ルイサの墓」を訪れました。

当日は快晴で絶好のツアー日和でした。

IMG_8529

はじめに訪れたのは「原のキリシタン墓碑」。

長湯温泉の近くに所在するこちらの墓碑は現在県史跡の指定を受けており、

全国的にも珍しいT十字に「INRI」という文字が刻まれております。

IMG_8533

IMG_8534

IMG_8536

IMG_8544

IMG_8549

IMG_8551

この墓碑は大友宗麟時代の直入の豪族であった「朽網氏」の墓石にとりつけられていたものと考えられております。

ルイス・フロイスの文献ではこの直入の地は豊後の中でも早い時期に教会が建てられており、宣教師たちにとって重要な地だったと考えられております。

その理由としましては「温泉」と、そこからとれる「硫黄」だったのではないかと言われております。

IMG_8548

こちらはバチカン駐日大使が大分県竹田市に来られた際に植樹された椿になります。

 

次に訪れたのは竹田市歴史資料館。こちらでは副市長の野田氏が出迎えてくださいました。

IMG_8556

 

こちらは資料館の外に飾られている「サンチャゴの鐘」のレプリカ。

このレプリカは実物の成分分析や3次元計測をおこない、

本物と同成分・同寸法で造られたもので、誰でも気軽に鐘をつけるようになっております。

IMG_8567

IMG_8562

IMG_8563

IMG_8566

なお、本物に関しましては、現在資料館の中で展示されております。

こちらの「サンチャゴの鐘」、もともとは長崎県のありました「サンチャゴ病院の付属教会」に取り付けられていたものと考えられておりますが、

どういった経緯で竹田の地に来たのか、詳細についてはまだ謎の部分が多いようです。

 

続いては「竹田創生館」。こちらでは「聖ヤコブ像」や「山の神」、先程の「原のキリシタン墓碑」のレプリカが展示されております。

IMG_8574

IMG_8576

IMG_8582

IMG_8585

 

IMG_8591

これら4つはすべてレプリカなのですが、本物と見間違えるほど精巧に作られております。

右端にありますのが「聖人ヤコブ像」頭部のレプリカですが、

「ヤコブ」のスペイン語が「サンティアゴ(サンチャゴ)」になります。

 

 

当日は「岡藩城下町雛まつり」が開催されており、

中一面にひな人形が飾られておりました。

IMG_8592 IMG_8595

IMG_8599

 

竹田の風情ある街中を歩き、次の目的地である「洞窟礼拝堂」へ。

IMG_8603

IMG_8604

IMG_8605

IMG_8609

こちらが「キリシタン礼拝堂」。

現在は周囲が開けておりますが、平成24年までは暗い森の中だったそうです。

現在は扉に鍵がかかっておらず、誰でも中に入って見学ができるようになっております。

IMG_8612

IMG_8620

IMG_8623

IMG_8627

現在竹田市で洞窟礼拝堂と考えられている場所には

①五角形の入り口 ②左右どちらかに集会場のような大型の窟 ③綺麗な湧き水が出る

という3つの共通点があるそうで、バチカン駐日大使が来られた際は

特に「綺麗な湧き水が出る」という点を重要視されていたそうです。

 

続いてはバスに乗り、少し離れた「おたまや公園」へ。

こちらは岡藩主中川家の墓地がある公園になります。

IMG_8633

こちらの墓地内にあります石塔の笠の裏側には十字とダイヤがほられているようです。

IMG_8635

IMG_8636

IMG_8642

IMG_8648

こちらの墓地内に謎の蒲鉾型の墓石が2つありますが、

誰のものなのか、なぜ藩主墓の敷地内にあるのかは不明のようです。

IMG_8649  また、唯一玉垣の作りが違う11代藩主墓。

他の藩主墓と異なり、蒲鉾型の石が使われております。

IMG_8651

 

お次は昼食で「食事処おおつ」さんへ。

IMG_8653 こちらは岡藩時代の大庄屋屋敷跡で、現在はその家系の方がお食事処を経営されております。

お屋敷のすぐ隣には宣教師が隠れ住み、火薬を製造していたと考えられる窟があります。

IMG_8657

IMG_8660

右が居住、左がトイレになります。

左の窟の奥には下の写真のような穴があります。

IMG_8661

この穴を利用して、排せつ物から硝石、そして最初に書きました温泉の硫黄を材料に、火薬を製造していたと考えられております。

IMG_8665

宣教師たちが隠れ住んでいた窟を見学した後は、いよいよ昼食。

今回は山の幸満載の竹田ご膳をいただきました。

IMG_8667

IMG_8672

IMG_8669

IMG_8673

IMG_8674

こちらの「おおつ」さんの家にはご先祖様が使用した甲冑やなぎなた、刀、大筒の弾などが残っており、

現在の家の中に飾られております。

こちらの甲冑は朝鮮出兵、関ヶ原の戦い、大坂冬の陣の際に、

実際にご先祖様が身に着けられたものになります。

IMG_8677 IMG_8678 IMG_8681

昼食の後、最初に訪れたのは「鏡処刑所跡」です。

こちらは江戸時代に多くのキリシタンが処刑されたところで、

もとは3つの墓碑が建てられておりました。

しかし、洪水の際に左端の墓碑が流されてしまい、

現在はそのあとに見つかった墓碑の一部だけが現地に建てられております。

IMG_8685

IMG_8684  IMG_8691  こちらの墓碑のうち、右端にあります「南無妙法蓮華経」と書かれた墓碑の漢字が、

一部通常とは異なった彫り方がされております(華など)。

IMG_8686

このような彫り方が何故されたのか、何を意味するのか、現在もその真意は不明であります。

IMG_8693

 

お次は竹田市を飛び出し、最後の目的地、佐伯市宇目にあります「重岡のルイサの墓」へ。

IMG_8695

IMG_8698

IMG_8700  IMG_8705

IMG_8707IMG_8708

このような大きな1枚岩が使われている点など、この「ルイサ」という人物についてもまだまだ謎が残っております。

 

 

今回は竹田市から最後は佐伯市宇目のキリシタン遺跡を巡るツアーでした。

キリシタンの歴史につきましては「隠れキリシタン」という独特な文化のもと、

記録がほとんどない状況のため、まだまだ謎が多く残っております。

従来はキリシタン文化=長崎や熊本といったイメージが強い中で、

実は大分(豊後)もかなり盛んだったということを感じられるツアーでした。

« »