一般社団法人 大分学研究会

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07月

第1回おおいた遺産モニターツアーが開催されました

平成29年6月25日(日)第1回おおいた遺産モニターツアーが開催されました。

このツアーは、全5回のシリーズで行われ、大分県の地域遺産を網羅した「おおいた遺産」を実際に見学することによっ て貴重な文化遺産の意義を理解し、次世代に保存・継承していく機運を醸成し ていくことを目的としています。

今回のツアーは速見(別府市・日出町)を巡りました。

朝は多少の雨が残っていましたが、最初の場所「聴潮閣」に着く頃には、傘がいらないお天気になりました。

国登録有形文化財「聴潮閣」

大分県財政界の重鎮高橋欽哉が住宅兼迎賓館として建てたもの。

建設当時は別府浜脇に海辺にあり、まさに「潮の音を聴く」にふさわしいロケーションにありましたが、

1989年に現在の山の手に移築され、保存、公開されています。

館長の高橋鴿子さんが、「聴潮閣」の沿革や見どころを紹介してくださいました。

四面柾、台湾ヒノキといった贅沢な木材を使った和室、まるでヨーロッパにいるかのような洋風の来賓室、小川三知製作のステンドグラス輝くお風呂、雨に濡れた中庭、

そしてヒノキの香りが漂う「聴潮閣」はずっとそこにいたくなるような居心地の良い空間です。

次の場所は別府市内成地区の棚田。

別府市の端、由布市との境にあります。

当日は田植えの時期で、植えたばかりの苗が整然と並べられていました。

内成地区の棚田はおよそ1000枚!どこまでも続く棚田はこの田植時期と、秋の収穫時期は特に見栄えがします。

ここからは別府市役所の永野康洋さん(NHK「ブラタモリ」別府編に御出演)がご案内。

日本の棚田百選にも選ばれている内成地区、江戸時代からこの地区で棚田がおこなわれていたそうです。田の石垣は明治大正時代に整備されたもの。一大整備だったことがうかがわれます。

次の場所は神楽女湖。

神楽女湖はショウブの花が一面に咲いています。まさに見ごろの時期に訪れることが出来ました。

少し離れた駐車場から神楽女湖へ続く道は鳥の鳴き声が聞こえてきて、リラックスできます。

お楽しみの昼食は鉄輪「黒田や」で地獄蒸しを堪能。

午後のはじめは別府の湯けむり展望台から湯けむりを眺めました。

続いては重要文化的景観に指定されている明礬温泉の湯の花小屋。湯の花製造は重要無形民俗文化財に指定されています。

 

この小屋周辺一帯は温泉脈がすぐ下にあるため、地面が温かいです。地下で発生している硫化ガスと地元で取れる青粘土との化学変化で出来る「湯の花」は

全国でもここだけ。

 

湯の花製造についての説明のあと、実際に湯の花小屋へ、

温泉卵を食べました。

普段食べているゆで卵とは色が違います。温泉の成分によって味や色が違うそうです。

鉄輪と明礬で温泉卵を食べ比べてみては?

次の場所はキリシタンゆかりの場所へ。

ここからは日出町観光協会佐藤隆さんがご案内。

日出藩主木下延俊の重臣加賀山半左エ門はキリシタンで彼の家族もキリシタンでした。

キリスト教に寛容だった時代が過ぎ、禁教令が幕府から布告されたとたん、キリスト教に対する弾圧に対して木下延俊も従う姿勢になりました。しかし、重臣の加賀山半左エ門は死刑宣告を受けてもなお、改宗しようとせず、ついには、この成敗場で後を追うことを望んだ息子とともに、殉死したのでした。

時は流れて2008年11月20日、ローマ法王庁がカトリック信仰の模範となる信者を称えるために、最高位の「聖人」に次ぐ「福者」という位を加賀山半左エ門に授けました。

それを記念した日出殉教公園が成敗場の隣に整備されています。

続いては重要文化財「的山荘」

馬上金山の経営者成清博愛が、日出町に建てた別邸で、国の重要文化財に指定されています。「的山」は鉱山を当てるという意味だそうです。

建物も素晴らしいですが、庭園は国の登録記念物でもあります。

庭園の造りは借景技法と呼ばれるもので、高崎山を築山に、別府湾を池に見立てています。

大きなクスノキも目を引きます。

建物の中も見どころがいっぱい。

大広間には一枚板の筬欄間、建築当時の手作りガラス、七宝焼きで作られた襖の引手金具、洋風ランプ、伊藤博文の書など、

成清家の繁栄が感じられる場所です。

最後は日出・暘谷城跡。

城跡に小学校があります。

今回は珍しい造りをした鬼門櫓のご案内。

城内の東北に位置したこの櫓は風水で言うところの「鬼門」を差し、忌み嫌われている方向でした。

そこで、東北にあたる隅を欠くことで禍が入ってこないようにしたとされます。

鬼門櫓は所有者が変われど、現代まで残っており、当時所有者であった中村氏より日出町が寄附を受け、平成22年から2年間の復元工事を経て

町の指定文化財となりました。

修復・復元前の鬼門櫓。

隅を欠いた建築様式は全国的にも珍しいそうです。

鬼門櫓については建物内でガイドしてくれます。

 

今回はおおいた遺産モニターツアー別府市・日出町編でした。

次回は8月27日(日)宇佐市・豊後高田市編です。

どこへ行くかは次回7月22日(土)14時からの事前学習会で。

場所はコンパルホールとなっております。

是非ご参加ください。